ガンダムW×ガンダムOOのクロスオーバー続き
1×2、3×4前提。五飛は妹蘭がいるのでBLCPはなし。
・ティエリアの性格は二期っぽい
・でもトレミーのクルーとかマイスターとかは一期
・原作完全無視
・ハレアレ、ティエ刹ティエ前提。ロックオンはお父さんとかお兄さんとかそんな感じ。
1×2、ティエ刹ティエ贔屓
すべてOKな方はどぞ!
どういうことだ、と問いかけたロックオンの行動を、ドアが開けられる音で遮られた。
自然、そちらへ視線が行く。
「遅くなりましてすみません、ハワードさん」
「……」
「わりぃな、爺さん」
「すまない、遅れた」
ぞろぞろと入って来たのはマイスターの一人──刹那と同じくらいの少年四人だった。
一人目は物腰が穏やかそうな金髪の少年、二人目は無表情な上に無口らしい寒そうな格好の少年、三人目は長い三つ編と黒い牧師のような服が特徴的な少年、四人目は独特な前髪(既視感はある)が印象的な少し背の高い少年。
皆それぞれに個性的だが、彼らは一体なんだろう。クルー、にしては違和感があるが、ならばなんだと問われれば分からない。
三人目の少年は、人懐こそうな笑みを浮かべてスメラギたち四人を見た。
「あ、お前らがあの船から来たって四人組か。整備班が物珍しそうに船見てたぜ?」
「勝手に弄られては困る。アレは俺が」
「ああ、安心してください。それは彼らも良く分かっていますから、手を出すような事はしません。ただ見るな、というのは可哀想なのでそれは許してもらえますか」
「ま、まあそれならいいが……」
丁寧に対応されてはイアンも強気に出られなかったようである。
彼らはハワードの隣に順に腰掛けて、それぞれがそれぞれの視線で四人を見た。
「僕はカトル・ラバーバ・ウィナー。カトルと呼んで下さい」
「……ヒイロ・ユイ」
「俺はデュオ。逃げも隠れもするが嘘は言わないデュオ・マックスウェルだ。気軽にデュオって呼んでくれ」
「トロワ・バートンだ。好きに呼んでくれ」
──……個性が良く出ている自己紹介である。
最初に受けた印象は概ね合っていたようで、それぞれの話し方からもそれは伺えた。
ハワードが、ん?と首を捻ってデュオという少年に話しかける。
「おい、デュオ。五飛はどうした」
「あ、あー……五飛はだな、その」
「下らないと言ってアルトロンに篭ったままだ」
「おい、ヒイロ。そういう言い方はないだろ」
「事実を言ったまでだ」
「おーいヒイロさーん……」
「無駄だ、デュオ。それくらいにしておけ」
何処まで続くのかと思われた問答はトロワによって遮られ、その様子を見ていたカトルはくすくすと笑っていた。
日常的な光景であるらしい。
その、うーふぇいとかいうのも少年なのだろうか。ハワードがわざわざ切り出したくらいだから、いつも一緒にいると言うことなのだろう。
名前をお伺いしてもいいですか? とカトルに尋ねられたので、四人は再び軽く名前を名乗った。
厭味を感じさせない実に丁寧な物腰だ。
「それで…何の話だったかの」
「ああ……その、私達を知らないという事だったのですが」
スメラギの言葉に、少年たち四人はそれぞれの表情で怪訝そうにして見せた。
一番顕著なのはデュオだが天性の明るさか厭味はない。逆にトロワやヒイロは表情の動き自体が殆どなく、表情が変わったのかどうか自信がなくなるほど僅かな変化だった。
なんとなく見えてくる。彼らの性格、人物像。
「面倒臭いから俺から言わせて貰う。俺たちは世間じゃ『希代のテロリスト』って呼ばれる程悪名高いんだ。それを其処のおっさんは知らないと言い切った。ありえねえんだよ、それは」
イオリア・シュヘンベルグが、全世界に向けて声明を発したのだから、この世界に「ソレスタルビーイング」の名を知らない者などいない筈なのだ。
それなのに彼は知らないという。未開の地に住んでいたというならともかく、彼らはこうして戦艦に乗り、宇宙にいるのだ。
イオリア・シュヘンベルグの思想の元に動く自分達を知らないなど、普通はありえない。
だというのに少年達は皆首を捻った。
「ソレスタルビーイング……デュオ、聞いた事あります?」
「いや、俺たちが悪名高いのは知ってるがそんな組織は……ホワイトファングの新勢力か?」
「なら俺たちとこうして話をしている訳がないだろう。もう少し考えて発言しろ。馬鹿だと思われる」
「へいへい、どうせ俺は馬鹿ですよ」
「卑屈になるのはよした方がいい。だが確かにその名は知らない。其処まで言うほどならば俺たちの耳に入っていてもおかしくはないんだが」
「だよなあ……。俺たちの名を聞いても反応しないとこを見るとそっちも俺らのことはしらねえみてえだし」
「僕らを攻撃対象としているなら話は早いんですが」
それぞれに考え始めてしまった少年達にスメラギたちは言葉をなくすより他にない。
どうも話がかみ合っていない。ズレがある。いや、ズレというよりも何よりも、初めから何かが違うような気さえする。
彼らと自分達の間には決定的な齟齬があって、それが深い溝のように横たわっているのだ。
ロックオンもアレルヤもイアンも思うことは同じようだ。三人とも分からないと表情で語っている。
そんな混乱の中にいる四人に声を投げかけたのはハワードだった。
「こちらは航行中急に計器類が皆反応しなくなってな。何処をどう漂ったかは分からんが、気付いたらお前さん達の船が見えとった」
「そう、なのですか。こちらは計器類に異常もなく……ただそちらの艦影が酷く突然ではありました」
「ハワード、何か大きなズレがあるように思えてならないんだが」
「お前さんもそう思うか、トロワ」
「俺も同意見だ」
「左に同じってね」
「僕もです、ハワードさん。何か違うような気がするんです。ただそれが何なのか分からない」
僕もですよ、スメラギさん。というアレルヤの声が聞こえた。
見ればロックオンも何か変だぜ、と髪をかきあげている。
皆が感じている違和感、ズレ。だというのに誰もわからない。まるで形の合わないピースを無理やりはめ込んでいるような。
そんな気持ち悪さがある。何だ、これは。
「……あの、突拍子もない事を言ってもいいですか」
もやもやとした空気が広がる中、口を開いたのはカトルだった。
眉尻を少し下げて、申し訳なさそうに場を見渡している。
なんだ、言ってみろとハワードが先を促す。
「ええ、僕なりに考えてみたんですが……違う世界って事はありえませんか」
気の抜けたような空気、誰かの溜め息。
場が凍ったのは、言うまでもない。